繰り返すものもらいは重大な病気のサインかも
たかがものもらい、と軽く考えてはいませんか。ほとんどの場合は心配のない細菌感染ですが、もし異常なほど頻繁に繰り返したり、なかなか治らなかったりする場合は、その背後に何か別の病気が隠れている可能性を疑う必要があります。特に注意したいのが、免疫機能の低下を招く全身性の疾患です。その代表格として挙げられるのが糖尿病です。糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、白血球の働きが鈍くなり、体全体の免疫力が低下します。すると、通常であれば問題にならないような弱い細菌にも感染しやすくなり、ものもらいのような化膿性の炎症を繰り返しやすくなるのです。実際に、ものもらいが治りにくいという症状をきっかけに眼科を受진し、その後の検査で糖尿病が発覚したというケースは決して少なくありません。したがって、ものもらいの頻発に加えて、喉が異常に渇く、尿の回数が多い、体重が急に減った、全身がだるいといった症状が伴う場合は、一度内科で相談してみることを強くお勧めします。また、非常に稀ではありますが、霰粒腫とよく似た症状で現れる悪性腫瘍、例えば「脂腺がん」という可能性もゼロではありません。高齢者で、同じ場所に何度も霰粒腫のようなしこりが再発し、徐々に大きくなるような場合は特に注意が必要です。これは眼科専門医でなければ診断が難しい病気です。いつものものもらいだからと自己判断で放置せず、治りが悪い、何度も繰り返すといった異常を感じたら、それは体からの重要なメッセージかもしれません。目の問題だけでなく、全身の健康状態を見直すきっかけと捉え、専門医の診察を受ける勇気を持つことが大切です。