りんご病は、主に子供たちの間で流行を繰り返す感染症ですが、大人が感染する場合、その感染源はどこにあるのでしょうか。その多くは、やはり家庭内や職場で、症状が出ている子供や他の大人からうつるケースです。感染経路を正しく理解することは、不必要な不安を減らし、適切な予防行動をとるために役立ちます。りんご病の主な感染経路は、咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」です。感染者の気道で増殖したウイルスが、会話や咳などで飛沫となり、周囲にいる人の鼻や喉の粘膜に付着することで感染が成立します。また、ウイルスが付着した手で口や鼻、目に触れることによる「接触感染」も感染経路の一つと考えられています。ここで非常に重要なのは、りんご病のウイルス排出のピーク、つまり他人に最も感染させやすい時期は、特徴的な発疹が現れる約一週間も前の、風邪のような症状が出ている時期であるという点です。頬が赤くなるなどの発疹が出現した頃には、ウイルスの排出はほとんど終わっており、感染力はほぼなくなっています。この事実が、りんご病の感染予防を非常に難しくしています。なぜなら、最も感染力が強い時期には、本人も周囲もただの風邪だと思っており、特別な感染対策が取られていないことがほとんどだからです。そのため、知らないうちに保育園や学校、家庭内で感染が広がってしまうのです。では、予防は全く不可能なのでしょうか。完全に防ぐことは困難ですが、リスクを減らすための基本的な対策は有効です。流行期には、石鹸による手洗いやうがいを徹底すること。特に、子供と接する機会の多い人は、こまめに行う習慣をつけましょう。また、抗体を持たない妊婦さんなど、感染を特に避けたい人は、流行シーズンには子供が多い場所や人混みをなるべく避けるといった自衛策も重要になります。感染経路の特性を理解し、過度に恐れることなく、基本的な予防策を地道に続けることが現実的な対応と言えるでしょう。
りんご病はいつどこでうつるのか感染経路を知る