大人のりんご病と診断された時、患者が最も苦しむのは耐えがたいほどの関節痛です。残念ながら、りんご病の原因であるパルボウイルスB19に直接効く特効薬は存在しません。そのため、治療はつらい症状を和らげながら、体自身の免疫力でウイルスが排除されるのを待つ「対症療法」が中心となります。この辛い期間を少しでも楽に乗り切るためには、いくつかの工夫と正しい知識が助けになります。まず、関節の痛みに対しては、医師から処方される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や外用薬(湿布、塗り薬)が治療の柱となります。ロキソプロフェンやジクロフェナクといった成分が含まれるこれらの薬は、炎症を抑え、痛みを緩和する効果があります。医師の指示に従い、定められた用法用量を守って正しく使用することが大切です。自己判断で市販の薬を多用するのは避けましょう。次に重要なのが、安静を保つことです。痛みが強い急性期には、無理に動かすと炎症が悪化することがあります。仕事や家事は可能な限り休み、関節に負担をかけないように過ごしましょう。特に、朝のこわばりが強い時間帯は無理せず、ゆっくりと体を慣らしていくことが肝心です。痛みがある部分を温めるべきか冷やすべきかについては、一概には言えません。一般的に、熱感を持って赤く腫れているような急性期の炎症には、冷たいタオルや保冷剤で冷やす(冷罨法)と痛みが和らぐことがあります。一方、痛みが慢性化し、こわばりが気になるような時期には、入浴などで温める(温罨法)と血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれて楽に感じることがあります。どちらが心地よく感じるかを自分で試してみるのが良いでしょう。また、精神的なケアも重要です。いつまで続くか分からない痛みは、大きなストレスとなり不安を増大させます。これはウイルス感染による一過性の症状であり、ほとんどの場合は後遺症なく回復するという事実を理解し、焦らずに療養に専念することが、回復への一番の近道となるのです。
大人のりんご病のつらい痛みを乗り切る方法