三十五歳にして、まさか自分が子供の病気でこれほどの苦しみを味わうことになるとは、夢にも思っていませんでした。始まりは、保育園に通う息子が手足口病と診断された三日後のこと。強烈な悪寒と共に体温計の数字がぐんぐん上がり、あっという間に三十九度を超えました。ただの風邪ではない、何か得体の知れないものに体を乗っ取られたような感覚でした。その翌日、地獄の幕が開きました。ふと手のひらを見ると、小さな赤い斑点がいくつも浮き出ており、それがみるみるうちに水ぶくれへと変わっていきました。そして足の裏にも同様の発疹が。最初は痒いような感覚でしたが、すぐに焼けつくような、あるいは針で刺されるような激しい痛みに変わりました。床に足をつくたびに激痛が走り、トイレに行くことさえ苦行となりました。スマホを握ることも、ペットボトルの蓋を開けることもできず、完全に無力な状態です。しかし、本当の絶望は口の中にありました。舌、歯茎、喉の奥まで、びっしりと口内炎ができたのです。水を一口飲んだだけで、口の中全体にガラスの破片を流し込まれたかのような激痛が走りました。食事など到底無理で、三日間で口にできたのは、痛み止めを飲んで感覚が麻痺している間に流し込んだゼリー飲料だけ。あまりの痛みと空腹、そして眠れないほどの関節痛に、私は本気で涙を流しました。子供がかかる軽い病気というイメージは、粉々に打ち砕かれました。これは、大人がかかると拷問に等しい病気です。幸い、一週間ほどで痛みは徐々に和らぎましたが、その後一ヶ月以上、爪が剥がれるという後遺症にも悩まされました。もし周りの大人が手足口病を軽視していたら、私は自分のこの体験を全力で伝えたいと思います。これは、絶対に侮ってはいけない病気なのだと。