糖尿病は単に「血糖値が高くなる病気」ではありません。それは高血糖によって全身の血管、特に細い血管がダメージを受け体のありとあらゆる場所に深刻な合併症を引き起こす「全身の病気」なのです。そのため糖尿病の治療は内科だけでなく様々な診療科との連携が不可欠となります。まず内科、眼科と並んで重要なのが「皮膚科」や「フットケア外来」です。糖尿病の三大合併症の一つに「神経障害」があります。これは手足の末梢神経が障害されるもので特に足先に「しびれ」や「痛み」「感覚が鈍くなる」といった症状が現れます。感覚が鈍くなると靴ずれや小さな傷、やけどに気づきにくくなります。そして糖尿病の人は免疫力が低下し血流も悪くなっているため、その小さな傷から細菌が侵入し感染症を起こし最悪の場合足が壊疽(えそ)を起こして切断に至ることもあります。これを「糖尿病足病変」と呼びます。皮膚科やフットケア外来ではこの足病変を防ぐため定期的な足の観察や正しい爪の切り方、靴選びといった専門的なフットケアの指導を行います。次に見過ごされがちながら非常に重要なのが「歯科」との連携です。実は「歯周病」は糖尿病の「第6の合併症」とも呼ばれるほど深い関係があります。糖尿病の人は歯周病になりやすくそして重症化しやすいことが分かっています。さらに歯周病菌が出す毒素がインスリンの働きを悪くさせ血糖値を上昇させることも明らかになっています。つまり「糖尿病が歯周病を悪化させ歯周病が糖尿病を悪化させる」という恐ろしい負のスパイラルが存在するのです。定期的に歯科を受診し歯周病の治療と専門的な口腔ケアを受けることは血糖コントロールを良好に保つ上でも非常に重要です。このほか腎臓の機能が悪化すれば「腎臓内科」、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まれば「循環器内科」との連携も必要となります。
足の痺れや歯周病も!糖尿病と全身の関係