軽く考えないで、大人の突発性発疹と合併症のリスク
突発性発疹は乳幼児がかかる比較的安全な病気という認識が一般的ですが、これが大人に発症した場合は、その限りではありません。大人の突発性発疹は、症状が重症化しやすいだけでなく、稀に深刻な合併症を引き起こすリスクをはらんでいることを知っておく必要があります。最も注意すべき合併症の一つが「脳炎・脳症」です。ウイルスが中枢神経にまで影響を及ぼし、意識障害やけいれん、麻痺といった重篤な神経症状を引き起こすことがあります。発生頻度は非常に低いものの、一度発症すると命に関わったり、後遺症が残ったりする可能性もあるため、高熱に加えて激しい頭痛が続く、ろれつが回らない、意識が朦朧とするといった症状が見られた場合は、一刻も早く救急医療機関を受診しなければなりません。また、大人の突発性発疹では「肝機能障害」を合併するケースが子供に比べて多く報告されています。血液検査で肝臓の酵素であるASTやALTの数値が著しく上昇し、強い倦怠感や吐き気、食欲不振といった症状が悪化します。多くは一過性で回復しますが、重症化すると劇症肝炎に至る可能性もゼロではありません。このほかにも、血小板の数が減少して出血しやすくなる「血小板減少性紫斑病」や、心臓の筋肉に炎症が起こる「心筋炎」なども、極めて稀な合併症として挙げられます。これらの合併症は、体の免疫力が著しく低下している状態で発症しやすいと考えられています。たかが高熱、たかが発疹と安易に自己判断し、無理を続けることは非常に危険です。大人が原因不明の高熱や体調不良に見舞われた際には、こうした重篤な合併症のリスクも念頭に置き、軽視することなく早期に医療機関で適切な診断と治療を受けることが、自らの身を守る上で最も重要なことなのです。