ある日突然あなたのたいせつな家族が「糖尿病です」と医師から告げられた。その時支える立場にある私たちはどのように本人と向き合い関わっていけば良いのでしょうか。家族の適切なサポートは糖尿病の治療において薬と同じくらいあるいはそれ以上に重要な役割を果たします。家族としてまず心がけたいのが本人を「責めない」ことです。「自己管理ができていないからだ」「だらしないからだ」といった非難の言葉は、ただでさえ病気の告知でショックを受けている本人の心を深く傷つけ治療への意欲を削いでしまいます。糖尿病は遺伝的な要因も大きく決して本人の性格だけの問題ではありません。まずは「これから一緒に頑張っていこうね」という温かい励ましの言葉をかけてあげてください。具体的なサポートとして最も重要なのが「食事療法への協力」です。糖尿病治療の基本は食事です。栄養バランスの取れた適切なカロリーの食事を毎日続ける必要があります。調理を担当する方は管理栄養士の指導などを参考に塩分や脂肪分を控えた健康的なメニューを工夫してみましょう。家族全員が同じ健康的な食事を楽しむ姿勢を見せることが本人の孤立感を和らげ治療を長続きさせる秘訣です。次に「運動の習慣化」を後押しすることも大切です。「一緒に散歩に行かない?」と誘ってみるなど楽しみながら体を動かすきっかけを作ってあげましょう。また治療には定期的な通院と薬の服用が欠かせません。通院日を忘れないように声をかけたり薬の飲み忘れがないか気遣ったりすることも重要なサポートです。そして時には一緒に診察に同行するのも良いでしょう。医師からの説明を一緒に聞くことで病気への理解が深まりますし家庭での本人の様子を客観的に医師に伝えることもできます。糖尿病の治療は時に食事制限などでストレスが溜まることもあります。そんな時一番の心の支えとなるのはやはり家族の理解と共感です。厳しく管理するのではなく本人の一番の味方として根気強くそして温かく寄り添い続けること。その姿勢こそが長い治療の道のりを共に歩むための何よりの力となるのです。