毎年、梅雨が明ける頃になると私の心は憂鬱でいっぱいになりました。夏が来ると決まって、原因不明のめまい、動悸、そして息苦しさに襲われるからです。通勤電車の中で立っていられなくなり、会社に着く頃にはぐったりと疲れ果てている。病院で検査をしても異常は見つからず、「気のせい」「怠けている」と自分を責める日々。そんな私が、ある年から劇的に夏の過ごし方を変え、つらい症状を乗り越えることができるようになった三つの生活習慣があります。一つ目は「ぬるめのお湯での全身浴」です。夏は暑いからとシャワーだけで済ませていましたが、これが間違いでした。専門家のアドバイスを受け、どんなに暑い日でも三十八度から四十度のぬるめのお湯に十五分ほど浸かることを日課にしました。これにより、冷房で冷え切った体の芯が温まり、リラックスを司る副交感神経が優位になります。一日の終わりに心身の緊張をリセットする、かけがえのない時間となりました。二つ目は「朝の軽い散歩」です。以前はギリギリまで寝ていましたが、思い切って三十分早く起き、涼しい朝の時間帯に近所を十五分ほど歩くようにしました。朝日を浴びることで体内時計が整い、セロトニンという心の安定に関わる神経伝達物質の分泌が促されます。リズミカルなウォーキングは血行を良くし、自律神経のバランスを整えるのに非常に効果的でした。何より、朝の静かな空気の中で自分と向き合う時間が、精神的な安定にも繋がりました。そして三つ目が「首の後ろを温める」ことです。自律神経の中枢は首の周辺に集まっていると聞き、日中、特に冷房の効いたオフィスで、蒸しタオルや温熱シートを使って首の後ろを温めるようにしました。これが驚くほど効果的で、こわばっていた肩や首の緊張がほぐれ、頭痛やめまいが明らかに軽減したのです。特別なことではありません。でも、この三つの地道な習慣が、私の長年の夏の苦しみから救い出してくれた、何よりの処方箋だったのです。
私の夏を変えた自律神経を整える三つの習慣