それは、特に変わったこともない、普通の平日の夜でした。夕食後、なんとなく体がだるいなと感じ、早めにベッドに入りました。しかし、夜中にひどい悪寒で目が覚めました。熱を測ると三十九度近い高熱。インフルエンザだろうか、と思いましたが、関節の痛みや喉の痛みはそれほどでもありません。そして翌朝、鏡を見て愕然としました。顔から首、腕、体幹にかけて、地図のように広がる、真っ赤で盛り上がった蕁麻疹が全身を覆っていたのです。かゆみも尋常ではありませんでした。すぐに近所の内科クリニックへ駆け込みましたが、医師も首をひねるばかり。「何か変わったものを食べましたか?」と聞かれましたが、思い当たる節はありません。とりあえず、抗アレルギー薬と解熱剤を処方され、様子を見ることになりました。しかし、薬を飲んでも熱は下がらず、蕁麻疹は出たり引いたりを繰り返すばかり。原因がわからないという不安と、終わりの見えないかゆみと倦怠感で、私の心身はすっかり疲弊してしまいました。一週間が過ぎても症状が改善しないため、私は紹介状を書いてもらい、総合病院の皮膚科を受診することにしました。そこでは、これまでの経緯を詳しく話した後、血液検査や尿検査など、様々な検査が行われました。そして数日後、ようやく診断が下りました。原因は「伝染性単核球症」、別名キス病とも呼ばれる、EBウイルスというヘルペスウイルスの仲間による感染症でした。この病気は、主に発熱や喉の痛み、リンパ節の腫れを引き起こしますが、私のように、薬疹と見間違えるほどの激しい蕁ма疹を伴うこともあるのだそうです。原因がウイルスだと判明し、特効薬はないものの、自分の免疫力で治っていく病気だと説明された時、私は心の底から安堵しました。原因がわかる、ということが、これほどまでに人を安心させるものかと実感した瞬間でした。もし、原因不明の蕁麻疹と熱に悩んでいる方がいたら、諦めずに専門医に相談し、適切な検査を受けることの重要性を、私の経験から伝えたいと思います。
謎の高熱と全身の蕁麻疹、私の原因不明の不調体験記