日々多くの患者さんを診察している中で、風邪で病院に行くべきかという質問をよく受けます。医師の立場から正直に言えば、ただの風邪であれば安静が一番ですが、患者さん自身がその判断を下すのは非常に難しいものです。私たちが診察室で特に注目しているのは、患者さんの顔色や呼吸の様子、そして症状の推移です。例えば、咳がひどいという訴えであっても、それが夜間に集中しているのか、あるいは運動時に悪化するのかによって、喘息の可能性や心不全の兆候を見極めています。受診を強く勧めるサインの一つに、意識の混濁や強い倦怠感があります。単なるだるさではなく、問いかけに対する反応が鈍かったり、自分の足で歩くのが困難だったりする場合は、脱水や脳症などの重篤な状態に陥っている危険性があります。また、発疹が出ている場合も要注意です。風邪の症状に加えて皮膚に赤みや発疹が現れたときは、溶連菌感染症や麻疹、あるいは薬の副作用による薬疹の可能性も考慮しなければなりません。こうした判断は専門的な知識がないと不可能であり、自己判断で放置するのは危険です。また、多くの患者さんが抗生物質を求めて来院されますが、先述の通りウイルスには効果がありません。しかし、診察の結果、扁桃腺に膿が付着していたり、肺の音に雑音が混じっていたりすれば、細菌感染を疑って抗生物質を投与します。この見極めこそが、私たちが医師として果たすべき役割です。最近では、オンライン診療を活用して、まずは画面越しに相談を受けるという選択肢も増えています。病院に行くべきか迷い、移動する体力さえ惜しいときは、こうしたシステムを利用するのも一つの手でしょう。また、市販の解熱鎮痛剤を服用して一時的に熱が下がっても、薬が切れた途端に再び高熱が出る場合は、体がまだ病原体と激しく戦っている証拠ですので、無理をせずに診察を受けてください。早期の受診は、適切な診断を通じて不要な薬の服用を避け、最も効率的な回復プランを立てるための貴重な機会となります。私たちは皆さんが健康な生活に戻れるようサポートするために存在していますので、不安を感じたときはいつでも門戸を叩いていただきたいと思っています。
現役の内科医が明かす風邪で受診が必要な体調の変化