インターネットでチョウバエ対策を検索すると、「排水口に熱湯を流す」という方法が、手軽で効果的な対策として頻繁に紹介されています。確かに、熱湯はチョウバエの卵や幼虫、蛹を死滅させるのに非常に有効な手段であり、薬剤を使いたくない方にとっては魅力的な選択肢に見えるでしょう。しかし、この方法は、やり方を間違えると期待した効果が得られないばかりか、思わぬトラブルを引き起こす危険性もはらんでいます。そのリスクと正しい方法を理解した上で、慎重に行うことが重要です。まず、効果についてですが、チョウバエの幼虫は熱に弱く、60度以上のお湯であれば十分に駆除効果が期待できます。卵も同様に、高温でタンパク質が変性するため、効果的に死滅させることが可能です。問題は、その熱を発生源であるパイプの壁面に付着したヘドロに、いかにして届けるかです。ただやかんで沸かしたお湯を一度流すだけでは、パイプの表面をさっと通過するだけで、ヘドロの内部に潜む幼虫まで熱が届かない可能性があります。効果を高めるためには、ある程度の時間をかけて、継続的に、そして広範囲にお湯がかかるように流す必要があります。例えば、給湯器の設定温度を60度程度にし、シャワーヘッドを使って排水口の内部を狙い、数十秒から1分程度お湯を流し続けるといった方法が考えられます。しかし、ここで最も注意しなければならないのが、排水管へのダメージです。一般的な住宅で使用されている塩化ビニル製の排水管(塩ビ管)の耐熱温度は、60〜70度程度とされています。したがって、沸騰した100度の熱湯を大量に流すと、排水管が変形したり、破損したりして、漏水の原因となる重大なトラブルに繋がる恐れがあるのです。また、熱湯を扱うこと自体、火傷の危険が伴います。これらのリスクを考慮すると、熱湯での対策はあくまで補助的な手段と位置づけ、60度程度のお湯で、排水管の耐熱性を確認した上で行うべきです。より安全で確実な対策としては、やはり市販のパイプクリーナーなど、専用の薬剤を使用することを基本とするのが賢明な判断と言えるでしょう。