医療ニュースと健康管理の総合ポータル

医療
  • 大人のりんご病は関節痛が主役だった

    医療

    りんご病、正式には伝染性紅斑と呼ばれるこの病気は、多くの人が子供特有の感染症というイメージを持っていることでしょう。その名の通り、両頬がリンゴのように赤くなる特徴的な症状は、一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、この病気の原因であるヒトパルボウイルスB19に、免疫を持たない大人が感染した場合、その症状は子供のそれとは全く異なる、非常に辛いものになることを知っておく必要があります。大人がりんご病にかかった場合、子供のような典型的な頬の赤みは現れないか、現れたとしても非常に軽微であることがほとんどです。その代わりに、主役となって本人を苦しめるのが、激烈な関節痛です。ある日突然、インフルエンザにかかった時のような高熱や倦怠感と共に、あるいはそれらの前駆症状なしに、手首や足首、膝、そして特に手の指の関節に耐えがたい痛みが出現します。朝、目が覚めた時には手がこわばって握ることができず、ペットボトルの蓋を開けるといった日常の些細な動作さえ困難になります。痛みのあまり歩行が困難になったり、夜も眠れなかったりするケースも少なくありません。この症状は、関節リウマチと非常によく似ているため、多くの人が整形外科やリウマチ科を受診します。しかし、血液検査をしてもリウマチ因子は陰性で、原因が特定できないまま痛み止めだけを処方され、不安な日々を過ごすことが非常に多いのです。その後、数日が経過して、腕や太ももにレース編み模様のような淡い発疹が現れて、ようやく医師がりんご病の可能性に気づく、というパターンが典型的です。子供の軽い病気という先入観が、大人のりんご病の診断を遅らせる一因となっています。原因不明の関節痛に悩まされたら、それは単なる使い痛みや年のせいではなく、ウイルス感染、特にりんご病の可能性もあるのだということを、頭の片隅に置いておくことが大切です。

  • 足の痺れや歯周病も!糖尿病と全身の関係

    医療

    糖尿病は単に「血糖値が高くなる病気」ではありません。それは高血糖によって全身の血管、特に細い血管がダメージを受け体のありとあらゆる場所に深刻な合併症を引き起こす「全身の病気」なのです。そのため糖尿病の治療は内科だけでなく様々な診療科との連携が不可欠となります。まず内科、眼科と並んで重要なのが「皮膚科」や「フットケア外来」です。糖尿病の三大合併症の一つに「神経障害」があります。これは手足の末梢神経が障害されるもので特に足先に「しびれ」や「痛み」「感覚が鈍くなる」といった症状が現れます。感覚が鈍くなると靴ずれや小さな傷、やけどに気づきにくくなります。そして糖尿病の人は免疫力が低下し血流も悪くなっているため、その小さな傷から細菌が侵入し感染症を起こし最悪の場合足が壊疽(えそ)を起こして切断に至ることもあります。これを「糖尿病足病変」と呼びます。皮膚科やフットケア外来ではこの足病変を防ぐため定期的な足の観察や正しい爪の切り方、靴選びといった専門的なフットケアの指導を行います。次に見過ごされがちながら非常に重要なのが「歯科」との連携です。実は「歯周病」は糖尿病の「第6の合併症」とも呼ばれるほど深い関係があります。糖尿病の人は歯周病になりやすくそして重症化しやすいことが分かっています。さらに歯周病菌が出す毒素がインスリンの働きを悪くさせ血糖値を上昇させることも明らかになっています。つまり「糖尿病が歯周病を悪化させ歯周病が糖尿病を悪化させる」という恐ろしい負のスパイラルが存在するのです。定期的に歯科を受診し歯周病の治療と専門的な口腔ケアを受けることは血糖コントロールを良好に保つ上でも非常に重要です。このほか腎臓の機能が悪化すれば「腎臓内科」、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まれば「循環器内科」との連携も必要となります。

  • 軽く考えないで、大人の突発性発疹と合併症のリスク

    医療

    突発性発疹は乳幼児がかかる比較的安全な病気という認識が一般的ですが、これが大人に発症した場合は、その限りではありません。大人の突発性発疹は、症状が重症化しやすいだけでなく、稀に深刻な合併症を引き起こすリスクをはらんでいることを知っておく必要があります。最も注意すべき合併症の一つが「脳炎・脳症」です。ウイルスが中枢神経にまで影響を及ぼし、意識障害やけいれん、麻痺といった重篤な神経症状を引き起こすことがあります。発生頻度は非常に低いものの、一度発症すると命に関わったり、後遺症が残ったりする可能性もあるため、高熱に加えて激しい頭痛が続く、ろれつが回らない、意識が朦朧とするといった症状が見られた場合は、一刻も早く救急医療機関を受診しなければなりません。また、大人の突発性発疹では「肝機能障害」を合併するケースが子供に比べて多く報告されています。血液検査で肝臓の酵素であるASTやALTの数値が著しく上昇し、強い倦怠感や吐き気、食欲不振といった症状が悪化します。多くは一過性で回復しますが、重症化すると劇症肝炎に至る可能性もゼロではありません。このほかにも、血小板の数が減少して出血しやすくなる「血小板減少性紫斑病」や、心臓の筋肉に炎症が起こる「心筋炎」なども、極めて稀な合併症として挙げられます。これらの合併症は、体の免疫力が著しく低下している状態で発症しやすいと考えられています。たかが高熱、たかが発疹と安易に自己判断し、無理を続けることは非常に危険です。大人が原因不明の高熱や体調不良に見舞われた際には、こうした重篤な合併症のリスクも念頭に置き、軽視することなく早期に医療機関で適切な診断と治療を受けることが、自らの身を守る上で最も重要なことなのです。

  • 大人がかかる突発性発疹はなぜ起こるのか

    医療

    突発性発疹と聞けば、多くの人が赤ちゃんの病気というイメージを持つでしょう。実際に、ほとんどの人が生後六ヶ月から二歳頃までにヒトヘルペスウイルス6型、あるいは7型というウイルスに感染し、抗体を獲得します。そのため、大人が発症することは非常に稀なケースとされています。では、なぜごく一部の大人が突発性発疹を発症するのでしょうか。その理由は大きく二つ考えられます。一つは、乳幼児期にこれらのウイルスに感染する機会がなく、抗体を持たないまま大人になった場合です。衛生環境が非常に良い家庭で育ったり、偶然ウイルスに接触する機会がなかったりした人が、大人になって初めてウイルスに感染し、典型的な症状を発症するのです。これが初感染のケースです。もう一つの可能性は、過去に感染して体内に潜伏していたウイルスの再活性化です。ヘルペスウイルス科に属するウイルスは、一度感染すると完全に体内から消えるわけではなく、神経節などに静かに潜み続けるという特徴があります。普段は体の免疫力によって活動を抑えられていますが、過労や強いストレス、他の病気、免疫抑制剤の使用などによって免疫力が著しく低下した際に、潜んでいたウイルスが再び増殖を始めて症状を引き起こすことがあります。これがウイルスの再活性化による発症です。特に、臓器移植を受けた患者さんなど、免疫を意図的に抑えている状態では、この再活性化が問題となることがあります。いずれのケースにせよ、大人の突発性発疹は、子供のそれとは異なり、症状が重く出たり、診断が難しかったりする傾向があります。もし高熱の後に発疹が出た場合、自己判断で済ませず、内科や皮膚科を受診し、適切な診断を受けることが重要です。

  • なぜ何度もかかるの?手足口病の再感染の謎

    医療

    一度かかったらもう安心、とはいかないのが手足口病の厄介なところです。子供の頃にかかったはずなのに、大人になってからまたかかってしまった、あるいは同じシーズンに二度もかかってしまったという話を聞いたことがあるかもしれません。なぜ手足口病は、麻疹や水疱瘡のように一度の感染で生涯免疫が得られないのでしょうか。その理由は、手足口病を引き起こす原因ウイルスが、一種類ではないという事実にあります。手足口病は、主にエンテロウイルス属に分類される複数のウイルスによって引き起こされます。その中でも代表的なのが「コクサッキーウイルスA6」「コクサッキーウイルスA16」、そして「エンテロウイルス71」などです。他にも原因となりうるウイルスは数十種類存在すると言われています。例えば、ある年にコクサッキーウイルスA16が原因の手足口病にかかったとします。すると、体はそのウイルスに対する免疫(抗体)を獲得するため、次に同じコクサッキーウイルスA16が体内に入ってきても、発症を防ぐことができます。しかし、この時に獲得した免疫は、他の種類のウイルス、例えばエンテロウイルス71に対しては効果を発揮しません。そのため、翌年にエンテロウイルス71が流行すれば、その人は再び手足口病にかかってしまう可能性があるのです。これが、手足口病に何度もかかるメカニズムです。さらに、ウイルスの種類によって症状の出方にも違いが見られます。一般的にコクサッキーウイルスA16によるものは比較的軽症ですが、エンテロウイルス71は髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高いとされています。また、近年流行しているコクサッキーウイルスA6は、症状が治った後に手足の爪が剥がれるといった特徴的な後遺症が見られることがあります。このように、手足口病と一括りに言っても、その背景には多様なウイルスが存在しており、毎年どの型のウイルスが流行するかによって、症状の傾向や流行の規模も変わってくるのです。

  • それは本当にりんご病?似ている病気との違い

    医療

    大人が経験する突然の激しい関節痛。その原因としてりんご病も考えられますが、実際には他の多くの病気との鑑別が非常に重要になります。特に症状が酷似しているため、医療現場でも最も慎重な判断が求められるのが「関節リウマチ」です。関節リウマチは、自己免疫の異常によって関節に炎症が起き、放置すると関節の変形を引き起こす進行性の病気です。朝の手のこわばりや、複数の関節が左右対称に痛むといった点は、大人のりんご病の症状と非常によく似ています。しかし、リウマチの場合は血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体が陽性になることが多く、これが診断の一つの手がかりとなります。一方、りんご病による関節炎は、これらの数値は陰性のままで、代わりにパルボウイルスB19のIgM抗体を調べることで確定診断に至ります。また、りんご病の関節炎は通常、数週間から数ヶ月で自然に治癒しますが、関節リウマチは慢性的に進行するという経過の違いもあります。次に紛らわしいのが、同じくウイルス感染によって引き起こされる他の「ウイルス性関節炎」です。例えば、風疹やB型肝炎ウイルス、EBウイルスなども関節炎を伴うことがあり、症状だけでは区別がつきません。これらのウイルスも抗体検査によって特定することが可能です。さらに、女性の場合は「更年期障害」による関節痛との鑑別も必要になります。女性ホルモンの減少によって、指のこわばりや関節痛が生じることがあり、りんご病の症状と重なることがあります。これらの病気は、それぞれ治療法や予後が全く異なります。関節リウマチであれば、早期に適切な治療を開始しなければ関節破壊が進行してしまいます。そのため、原因不明の関節痛が続く場合は、自己判断で様子を見るのではなく、必ずリウマチ・膠原病内科などの専門医を受診し、正確な診断を受けることが何よりも重要です。安易に「ただのりんご病だろう」と決めつけず、あらゆる可能性を視野に入れた検査を受けることが、将来の健康を守ることに繋がるのです。

  • 私のりんご病の関節痛はいつまで続くのか

    医療

    りんご病と診断され、原因がはっきりしたことへの安堵も束の間、私の本当の戦いはそこから始まりました。医師からは「関節痛は数週間で良くなりますよ」と告げられていましたが、私の場合はその言葉通りにはいきませんでした。最初の二週間は、まさに地獄のような日々でした。朝は指が曲がらず、夜は全身の関節の痛みで目が覚める。痛み止めの薬が手放せず、仕事もままならない状態でした。三週間目に入ると、ようやく激しい痛みは和らぎ、少しずつ日常生活を取り戻せるようになりました。しかし、完全に痛みが消えることはなく、まるで天候によって痛みの強さが変わる古傷のように、鈍い痛みが手首や足首に居座り続けたのです。特に疲れた日や、雨が降る前日などは、決まって関節が重く、疼くように痛みました。一ヶ月が経ち、二ヶ月が経っても、その状態は変わりませんでした。本当にこの痛みは消えるのだろうか。もしかしたら、このまま一生付き合っていくことになるのではないか。そんな不安が日に日に大きくなっていきました。リウマチ科の医師に相談すると、「大人のりんご病の関節炎は、稀に数ヶ月から一年以上続くことがあります。ごく一部では、これをきっかけに慢性関節炎に移行するケースも報告されています」と説明を受けました。その言葉に、私はさらに落ち込みました。しかし、同時に、これは長期戦になるかもしれないと覚悟を決めるきっかけにもなりました。それからは、痛みに一喜一憂するのをやめ、自分の体と向き合うことを意識しました。痛みが強い日は無理をせず、調子の良い日には軽いストレッチをする。体を冷やさないように気をつけ、バランスの良い食事を心がける。そんな地道な生活を続けるうちに、半年が過ぎた頃でしょうか。ふと、最近あまり関節のことを意識しなくなった自分に気づいたのです。まだ時折、軽い痛みを感じることはありますが、生活に支障をきたすほどのことはなくなりました。あの終わりが見えないトンネルにも、確かに光はあったのだと、今ならそう思えます。

  • 水疱瘡の跡を残さないための絶対的鉄則

    医療

    水疱瘡にかかった時、親が子に、あるいは本人が最も気をつけるべきことは、将来に悔いを残さないためにも、皮膚に跡を残さないようにすることです。そのための対策は、病気の発症直後から始まっています。跡を残さないための絶対的な鉄則、それは「掻かないこと」そして「水疱を潰さないこと」に尽きます。言うは易く行うは難しですが、これが最も重要なポイントです。水疱瘡の痒みは非常に強く、特に子供にとっては我慢するのが困難です。しかし、ここで掻き壊してしまうと、皮膚の深い部分まで傷が及び、クレーター状の跡が残る最大の原因となります。痒みを和らげるためには、まず爪を短く切り、清潔に保つことが基本です。寝ている間に無意識に掻いてしまうのを防ぐため、手にミトンや手袋をはめるのも有効な手段です。また、医師から処方される抗ヒスタミン薬の飲み薬や、痒みを抑える塗り薬(カチリなど)を正しく使用することも大切です。体を温めると痒みが増すため、入浴は熱いお湯を避け、ぬるめのシャワーで汗をさっと流す程度にしましょう。石鹸を使う際は、ゴシゴシこすらず、泡で優しく撫でるように洗うことが肝心です。水疱が破れてしまった場合は、細菌感染を防ぐために特に注意が必要です。医師の指示に従い、抗生物質入りの軟膏を塗るなど、清潔な状態を保つ処置が求められます。ウイルス自体の増殖を抑える抗ウイルス薬は、発症から四十八時間以内に服用を開始すると、症状の重症化を防ぎ、結果として跡が残るリスクを低減させる効果が期待できます。水疱瘡はただ治るのを待つだけの病気ではありません。痒みとの戦いを制し、皮膚をいかに守り抜くかという、積極的なケアが求められるのです。

  • その発疹は本当に突発性発疹?似ている病気たち

    医療

    大人が高熱の後に発疹を経験した場合、突発性発疹の可能性も考えられますが、実際には他の多くの病気との見極めが非常に重要になります。大人の突発性発疹は極めて稀であり、医師はまずより可能性の高い疾患を疑って診察を進めるのが一般的です。最も鑑別が必要な病気の一つが「風疹」です。風疹も発熱、リンパ節の腫れ、そして発疹という三つの症状が特徴ですが、発疹は熱と同時に、あるいは少し遅れて現れることが多く、突発性発疹のように解熱後にくっきりと現れるパターンとは少し異なります。妊娠初期の女性が感染すると胎児に影響を及ぼすため、正確な診断が不可欠です。次に考えられるのが「麻疹(はしか)」です。麻疹は高熱と咳、鼻水、目の充血といったカタル症状が先行し、一度熱が下がりかけた後に再び高熱となり、そのタイミングで発疹が出現します。発疹は癒合して大きな斑点状になるのが特徴で、感染力が非常に強い危険な病気です。また、「伝染性単核球症」も非常に紛らわしい病気です。EBウイルスによって引き起こされ、発熱、喉の痛み、リンパ節の腫れ、そして肝機能障害などを伴います。この病気の際に特定の抗生物質を服用すると、薬疹として全身に発疹が出ることがあり、これが突発性発疹と誤解されることがあります。さらに、単純な「薬疹」も常に考慮しなければなりません。風邪などで処方された薬に対するアレルギー反応として、発熱や発疹が現れることがあります。これらの病気はそれぞれ治療法や対処法、そして他者への感染リスクが大きく異なります。自己判断は非常に危険です。原因不明の発熱と発疹が出た際には、必ず医療機関を受診し、いつから熱が出たか、他にどんな症状があるか、最近薬を飲んだかなどを正確に伝え、専門家による診断を仰ぐことが何よりも大切です。

  • 子供と違う大人の突発性発疹のつらい症状

    医療

    一般的に乳幼児がかかる病気として知られる突発性発疹ですが、ごく稀に大人が発症することがあります。その場合、子供の症状とは少し様相が異なり、より重く、つらい経過をたどることが少なくありません。子供の突発性発疹は、突然三十九度以上の高熱が出ますが、比較的機嫌は良く、熱が下がると同時に全身に赤い発疹が現れるのが典型的なパターンです。しかし、大人が初感染した場合、この症状がより深刻な形で現れる傾向があります。まず、発熱の期間が子供より長く、四十度近い高熱が四日から一週間程度続くこともあります。この高熱に伴い、激しい頭痛や関節痛、筋肉痛、そして強い全身の倦怠感に襲われ、日常生活を送ることが困難になるケースがほとんどです。また、首や顎の下のリンパ節が著しく腫れ、強い痛みを伴うのも大人の特徴的な症状の一つです。このリンパ節の腫れは、他のウイルス感染症、特に伝染性単核球症などと間違われる原因にもなります。さらに、子供ではあまり見られない肝機能障害を合併することもあります。血液検査をすると肝臓の数値が上昇しており、全身のだるさや食欲不振をさらに悪化させる要因となります。そして、熱が下がった後に出現する発疹も、子供より広範囲に、そして色濃く現れることがあると言われています。このように、大人の突発性発疹は単なる風邪とは比べものにならないほど全身症状が強く現れます。もし原因不明の高熱が続き、リンパ節の腫れなどを伴う場合は、稀なケースではありますが突発性発疹の可能性も視野に入れ、速やかに医療機関で診察を受けることが肝心です。