子供が水疱瘡にかかった時、親として最も知りたいのは、これからどんな症状が出て、どのように治っていくのか、その全体像ではないでしょうか。病気の経過をあらかじめ知っておくことで、慌てず、適切なケアをすることができます。水疱瘡の症状は、大きく三つのステージに分かれて進行します。まず、ウイルスに感染してから症状が出るまでの「潜伏期間」が、およそ二週間(十日から二十一日)あります。この間は、子供は無症状で元気に過ごしていますが、体の中ではウイルスが増殖しています。そして、いよいよ「発症期」を迎えます。最初のサインは、多くの場合、三十七度から三十八度程度の発熱です。だるさや食欲不振を伴うこともあり、この段階では普通の風邪と区別がつきません。しかし、発熱とほぼ同時か、一日二日遅れて、水疱瘡の最大の特徴である「発疹」が現れ始めます。最初は、お腹や背中、顔といった体幹部に、虫刺されのような赤いポツポツ(紅斑)として出現します。この発疹は、数時間のうちに急速に変化し、中心に水滴が乗ったような、透明な水ぶくれ(水疱)になります。この水疱が、非常にかゆいのです。そして、この病気のもう一つの特徴は、新しい発疹が次々と、波状攻撃のように現れることです。発症から三日から五日間は、紅斑、水疱、そして水疱が破れて膿を持つようになった膿疱、さらには乾いてかさぶたになったものまで、様々な段階の発疹が、全身に混在する状態になります。頭皮の中や口の中、目の粘膜、性器など、ありとあらゆる場所に発疹ができることも珍しくありません。この時期が、子供にとっても親にとっても、最もつらい「ピーク期」です。そして、最後の「回復期」です。発症後五日ほど経つと、新しい発疹はほとんど出なくなり、既存の発疹はすべてかさぶたへと変化していきます。このかさぶたは、一週間から二週間ほどで自然に剥がれ落ち、多くは痕を残さずに治癒します。全ての水疱がかさぶたになるまでが、感染力のある期間とされています。この一連の流れを理解し、それぞれのステージで適切な対応をすることが、子供の苦痛を和らげ、スムーズな回復に繋がります。
子供の水疱瘡!知っておきたい症状の全経過