子供の病気において「高熱」と「発疹」の組み合わせは非常に頻繁に見られますが、その背後にある原因を特定するのは、時にミステリーを解くような難しさがあります。ある六歳の男の子のケースでは、突然の四十度近い高熱から物語が始まりました。喉の痛みを訴えてはいましたが、咳や鼻水はほとんどなく、ただ熱だけが高い状態が丸二日続きました。三日目に熱が三十七度台まで下がったとき、母親は安堵しましたが、その日の午後に子供の体にある変化が起きました。首筋から胸元にかけて、非常に細かい、砂をまいたような赤い発疹が広がっていたのです。母親はすぐに「かゆくない?」と確認しましたが、男の子は「全然かゆくないよ」と答え、テレビを見て過ごしていました。蕁麻疹のように盛り上がった様子もなく、ただ皮膚全体が紅潮したような不思議な発疹でした。しかし、母親が何となく子供の口の中を覗くと、舌がまるでイチゴのように赤くブツブツとしていることに気づきました。これが決定打となり、翌朝受診した小児科で「溶連菌感染症」と診断されました。溶連菌による発疹は、専門的には「猩紅熱様発疹」と呼ばれ、細かい発疹が密集することで全体的に赤く見えるのが特徴です。そして、多くの場合、強いかゆみは伴いません。この男の子のように、熱が下がったタイミングで発疹が目立ってくることもあり、一見すると突発性発疹のように見えますが、六歳という年齢や喉の所見、イチゴ舌といった要素が診断を分けました。溶連菌感染症の重要な点は、ウイルス性疾患とは異なり、抗生物質を適切に服用しなければならないという点です。かゆみがないからと放置してしまうと、後に腎炎やリウマチ熱といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。この男の子は、処方された抗生物質を飲み始めると、発疹は数日で消え、その後、指先の皮が薄く剥けるという溶連菌特有の経過を辿って完治しました。この事例が教えてくれるのは、かゆみのない発疹であっても、それが細菌によるものである場合、医学的な介入が不可欠であるということです。特に、喉の痛みや舌の変化を伴う場合は要注意です。親が「かゆくないから緊急性はない」と判断するのは危険であり、他の症状との組み合わせを総合的に見ることが、子供の健康を守る鍵となります。高熱の後の発疹は、体がウイルスや細菌と戦った足跡ですが、その足跡がどのような形をしているかを正確に見極めることが、適切な治療への唯一の道なのです。
高熱の後に全身に現れた赤くかゆくない発疹から判明した溶連菌感染症