「病院の苦情はどこに伝えるのが最も建設的なのでしょうか」という問いを、長年医療安全の現場で相談員を務めてきた専門家にぶつけてみました。彼によれば、苦情を伝えることは決して「ネガティブな行為」ではないといいます。むしろ、それは病院にとっての「ギフト」であり、改善のための貴重なリソースだというのです。しかし、そのギフトを届ける場所を間違えると、ただの摩擦で終わってしまうのが難しいところです。専門家のアドバイスによれば、まず考えるべきは「苦情の目的を明確にすること」です。もし目的が「その場での謝罪や事実確認」であれば、即座に現場の看護師長や事務長を呼んでもらうのが一番です。一方で、目的が「病院全体のシステム改善」であれば、病院内の患者相談窓口へ書面で提出するのが効果的です。書面にすることで、病院の内部会議で正式な議題として取り上げられやすくなるからです。では、病院の外へ持ち出すべきなのはどのような時でしょうか。専門家は「病院とのコミュニケーションが完全に断絶したとき」だと言います。説明を求めても拒否される、明らかに事実を隠蔽しようとしている。そのような不信感が募ったときこそ、保健所や医療安全支援センターといった公的機関の出番です。彼らは外部の目として病院に揺さぶりをかけ、透明性を確保する役割を果たします。インタビューの中で印象的だったのは、苦情を伝える際の心理的ハードルについての話でした。「患者さんは、声を上げることで不利益を被ることを極端に恐れます。しかし、今の医療現場で正当な苦情に対して報復を行うような病院は、そもそも生き残れません」という言葉には重みがありました。病院の苦情はどこにと迷っている方に対し、専門家はこう結びました。「まずは、その病院が用意している窓口を信頼してみてください。それでもダメなら、我々のような外部の窓口がいつでもあなたの背中を支えます。一番いけないのは、諦めてその病院への不信感を持ったまま治療を続けることです」。納得のいく医療を受けるためには、時に勇気を持って声を届けることが不可欠であり、そのための窓口は、あなたが思っている以上に開かれているという事実は、大きな励ましとなるはずです。
専門家に聞く病院の苦情をどこに伝えるべきかという問い