手足口病には、ウイルスを直接攻撃するような特効薬はありません。つまり、「何日で治るか」は、本人の免疫力がウイルスに打ち勝つまでの時間にかかっています。しかし、療養中の過ごし方を工夫することで、子供の体力の消耗を最小限に抑え、回復を力強く後押しすることは可能です。そのためのポイントは、「食事」「水分補給」「休息」の三つです。まず、親を最も悩ませるのが「食事」です。口の中にできた痛い口内炎のせいで、子供は食べることを拒否しがちです。ここで無理強いは禁物です。大切なのは、口内炎を刺激しない、食べやすいものを選ぶことです。熱いもの、塩辛いもの、酸っぱいもの(ケチャップや柑橘系のジュースなど)、硬いものは、痛みを増強させるので避けましょう。おすすめは、プリン、ゼリー、アイスクリーム、冷たいポタージュスープ、豆腐、茶碗蒸しなど、喉越しが良く、あまり噛まなくても食べられるものです。栄養バランスを気にするあまり、無理に食べさせるよりも、まずは子供が口にできるものを見つけてあげることが最優先です。次に、そして最も重要なのが「水分補給」です。食事があまり摂れない分、脱水症状に陥りやすいので、水分だけはこまめに与えることを徹底してください。ここでも、酸味の強いジュースは避け、麦茶や牛乳、イオン飲料(経口補水液)、冷ましたスープなどを、少量ずつ、回数を多くして飲ませてあげましょう。ストローを使うと、口内炎に直接触れずに飲めることがあるので試してみてください。そして、基本となるのが「十分な休息」です。熱が下がると、子供は遊びたがるかもしれませんが、体内ではまだウイルスとの戦いが続いています。体力を消耗させないよう、できるだけ家の中で、絵本を読んだり、ビデオを見たりと、静かな遊びで過ごさせるようにしましょう。ぐっすり眠ることも、免疫力を高める上で非常に大切です。これらの適切なケアを通じて、子供の苦痛を和らげ、体がウイルスと戦うのをサポートしてあげることが、結果的に一日でも早い回復に繋がるのです。