蕁麻疹と熱は、多くの場合、感染症などが原因で起こる一過性の症状です。しかし、そこに「息苦しさ」や「めまい」といった症状が加わった時、それは単なる蕁麻疹ではなく、命に関わる緊急事態「アナフィラキシー」のサインかもしれません。この危険な兆候を見逃さないことが、何よりも重要です。アナフィラキシーとは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に入ってから、ごく短い時間のうちに、複数の臓器に激しいアレルギー症状が全身性に現れる状態を指します。皮膚に現れる蕁麻疹や赤み、熱感もその症状の一つですが、本当に危険なのは、呼吸器や循環器に及ぶ症状です。例えば、喉の粘膜が腫れることで気道が狭くなり、「息がしにくい」「声がかすれる」「ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする」といった呼吸困難の症状が現れます。これは窒息に至る危険がある、極めて深刻な状態です。また、血管が急激に拡張することで血圧が低下し、「めまいがする」「気が遠くなる」「意識が朦朧とする」といったショック症状を引き起こすこともあります。その他にも、激しい腹痛や嘔吐といった消化器症状を伴うこともあります。アナフィラキシーの原因となるアレルゲンは様々です。代表的なものには、食物(卵、乳製品、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類など)、医薬品(抗生物質や解熱鎮痛薬など)、そして蜂などの虫刺されがあります。もし、蕁麻疹と熱に加えて、先ほど挙げたような「呼吸の異常」「意識の異常」が一つでも見られたら、それは一刻を争う緊急事態です。様子を見ている時間はありません。ためらわずに、すぐに救急車を呼んでください。そして、救急隊が到着するまでの間、可能であれば原因と思われるものを体から遠ざけ、楽な姿勢で安静にさせることが大切です。蕁麻疹と熱という、ありふれた症状の裏に隠された、命の危険。そのサインを正しく知り、迅速に行動することが、あなたや大切な人の命を守ることに繋がります。
命に関わる危険なサイン!蕁麻疹と熱に息苦しさが伴ったら