子供の一人が手足口病にかかると、親の心配事は本人の回復だけではありません。その強い感染力ゆえに、兄弟や、看病する親自身へと感染が広がり、「家庭内パンデミック」状態に陥ってしまう可能性があるのです。そうなると、家庭全体が完全に「治る」までの期間は、想像以上に長引くことになります。手足口病の感染力は非常に強く、主な感染経路は、咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む「飛沫感染」、水疱の内容物やウイルスがついた手で口や鼻を触る「接触感染」、そして回復後も長く続く「糞口感染」の三つです。特に、まだおむつをしている小さな子供がいる家庭では、おむつ交換の際に親の手にウイルスが付着しやすく、そこから感染が広がるケースが後を絶ちません。また、子供同士はおもちゃをなめたり、距離が近かったりするため、兄弟間での感染も非常に起こりやすいです。この病気の潜伏期間は、およそ三日から五日です。例えば、まずお兄ちゃんが発症したとします。お兄ちゃんが七日から十日で治る頃、潜伏期間を経て、今度は弟が発症します。そして、二人を看病していたお父さんが、さらにその数日後に高熱と激痛に見舞われる、というシナリオも十分に考えられます。このように、家族が次々とリレーのように感染していくと、最初の子供が発症してから、最後の家族が完治するまでに、三週間から一ヶ月近くかかってしまうこともあるのです。この負の連鎖を断ち切るためには、家庭内での感染対策を徹底するしかありません。感染した子供のおむつを替えた後は、必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗うこと。アルコール消毒も有効です。タオルやコップ、食器の共有は避けましょう。おもちゃなども、こまめに消毒できると理想的です。特に、回復後も二週間から四週間にわたり、便の中からウイルスが排出され続けることを忘れてはいけません。症状が治まったからと油断せず、トイレ後やおむつ交換後の手洗いを家族全員で習慣づけることが、家庭内パンデミックを防ぐための最も重要な鍵となります。
家庭内パンデミック!家族全員が治るまで何日?