手足口病は子供の病気というイメージが強いですが、もちろん大人も感染します。そして、大人がかかった場合、その症状は子供よりも格段に重く、治るまでの期間も長引く傾向があるため、注意が必要です。子供の看病をしているうちに、自分も感染してしまい、その辛さに驚く親御さんは少なくありません。大人が手足口病にかかった場合、まず、子供ではあまり見られないような三十九度以上の高熱が出ることが多く、それに伴って、インフルエンザのような激しい悪寒や関節痛、筋肉痛、そして強い倦怠感に襲われます。この初期症状だけでも、体を動かすのが困難になるほどです。そして、その後現れる発疹と口内炎も、子供の比ではありません。特に、手のひらや足の裏にできた水疱は、非常に痛みが強く、日常生活に大きな支障をきたします。手のひらの痛みで物が持てない、スマートフォンの操作ができない、足の裏の激痛で歩くことさえままならない、といった状態になることも珍しくありません。水疱の数も子供より多く、密に発生する傾向があります。口の中にできる口内炎も同様に痛みが激しく、食事や水分補給が困難になります。これらの激しい症状のため、大人の手足口病は、治るまでの期間も長くなりがちです。子供であれば一週間から十日程度で回復するところ、大人の場合は症状が完全に落ち着くまで二週間以上かかることもあります。また、熱や痛みが治まった後も、倦怠感がなかなか抜けず、体力が完全に元に戻るまでにはさらに時間が必要となる場合も少なくありません。もし、子供が手足口病にかかったら、「自分は大人だから大丈夫」と油断してはいけません。子供から大人へうつる主な経路は、おむつ交換の際の便や、看病中の接触です。自分が感染してダウンしてしまうと、家庭はさらに大変な状況に陥ります。手洗いや消毒を徹底し、感染予防に最大限努めることが、自分自身と家族を守る上で何よりも重要です。