数年前の冬、私は人生で初めて「予防接種を受けたのにインフルエンザにかかる」という経験をしました。それまでは、高い費用と時間をかけて痛い思いをするのだから、打っておけば一冬安泰だと信じ切っていました。しかし、一月の下旬、仕事中に突然の悪寒と共に関節の痛みを感じ、嫌な予感と共に病院へ向かうと、結果は非情にもインフルエンザA型。正直なところ、最初は「予防接種の効果なんて全くないじゃないか」と腹を立てたのを覚えています。しかし、実際に寝込んでみて、過去に予防接種を受けずに罹患した時の記憶と比較した時、大きな違いがあることに気づきました。以前、未接種の状態でかかった時は、四十度近い熱が三日間以上下がらなず、意識も朦朧として一週間は布団から一歩も出られないほどの生き地獄を味わいました。ところが今回は、熱は三十八度台止まりで、解熱剤を服用して二日目には食欲も戻り、テレビを見る余裕すらあったのです。医師にそのことを話すと、それこそがワクチンの効果だと教えられました。ウイルスを完全にブロックすることはできなくても、私の体の中にはあらかじめ作られた「防衛軍」がいて、敵の侵入と同時に迅速な反撃を開始してくれたおかげで、被害が最小限で済んだというわけです。もし今回も打っていなければ、もっと長期間仕事を休み、家族にも多大な負担をかけていたことでしょう。この経験以来、私の予防接種に対する考え方は大きく変わりました。完璧な盾を期待するのではなく、万が一の際の「保険」として捉えるようになったのです。また、自分が軽症で済んだことで、家庭内での二次感染を防げたことも大きな収穫でした。激しい咳や高熱が出なければ、ウイルスを撒き散らす量も自然と減り、結果として同居する高齢の両親に移すことなく完治することができました。予防接種の効果は、目に見える「感染ゼロ」という結果だけでなく、苦痛の軽減や社会復帰の早さ、そして周囲への被害拡大を抑えるという目に見えにくい部分にこそ価値があるのだと身をもって知りました。今では毎年、流行の兆しが見える前に迷わずクリニックへ予約を入れています。あの時の、少しだけ楽だった闘病生活が、予防接種の真の実力を私に教えてくれたからです。
予防接種を受けた私がインフルエンザにかかって気づいたこと