数年前の秋、私は止まらない咳に悩まされていました。最初はただの風邪だと思い、市販の薬を飲んでしのいでいましたが、二週間が過ぎても三週間が過ぎても一向に良くなる気配がありません。それどころか、夜中になると喉の奥がむずがゆくなり、一度咳が出始めると涙が出るほど止まらなくなるのです。当時の私は、喘息は何科に行けばいいのかという知識も乏しく、喉が痛いのだからとまずは近所の耳鼻咽喉科を受診しました。先生は丁寧に喉を診てくれましたが、炎症はそれほどひどくないと言われ、うがい薬と軽い咳止めを処方されるにとどまりました。しかし、薬を飲んでも症状は改善しません。次に私は、総合病院の一般内科を訪ねました。そこでレントゲンを撮りましたが、肺には異常がないという結果で、ここでも風邪の延長だろうという診断でした。周囲からは「最近忙しいからストレスじゃないか」と言われ、自分でもそうかもしれないと思い始めていました。しかし、ある夜、呼吸をするたびに胸の奥でヒューという小さな音が聞こえることに気づき、恐怖を感じて真剣にインターネットで調べました。そこでようやく「呼吸器内科」という専門の科があることを知り、わらをも掴む思いで専門クリニックを予約したのです。専門医の先生は私の話をじっくり聞いた後、呼気検査と呼吸機能検査を行いました。結果は、典型的な成人喘息でした。それまで何度も病院へ行ったのに分からなかった原因が、わずか一時間の専門的な検査で判明したことに、驚きと同時に大きな安堵感を覚えました。処方された吸入ステロイド薬を使い始めると、あんなに苦しかった咳が数日で嘘のように静まり、夜もぐっすり眠れるようになったのです。この経験から私が学んだのは、専門外の病院をいくつも回るよりも、自分の症状に特化した診療科を見極めることの重要性です。もしあの時、もっと早く呼吸器内科を選んでいれば、一ヶ月以上も苦しむことはなかったはずです。自分の体の違和感がどこから来ているのかを冷静に観察し、適切な専門医に相談することの大切さを、今でも深く胸に刻んでいます。