三歳の息子を持つ共働きのAさん夫婦は、ある夜、息子の体調変化に直面しました。夕食のときは元気だった息子が、寝る前になって急にコンコンと軽い咳をし始め、体温を測ると三十七度八分の微熱がありました。Aさんは、明日も仕事があるし、この程度で夜間に病院へ行くべきか、それとも朝まで待って保育園を休ませるべきか非常に悩みました。子供の体調は急変しやすいという話を聞いていたものの、夜間救急は待ち時間も長く、逆に他の病気をもらってしまうのではないかという不安もありました。結局、その夜はこまめに水分を飲ませて様子を見ることにしました。しかし、深夜二時を過ぎた頃、息子の咳はケンケンという犬の遠吠えのような音に変わり、呼吸をするたびに胸のあたりがペコペコと凹むようになりました。慌てて#8000という小児救急電話相談に連絡したところ、すぐに受診が必要だというアドバイスを受けました。救急外来での診断はクループ症候群という、喉の入り口付近が腫れて空気の通り道が狭くなる病気でした。吸入治療を受けて息子の呼吸は落ち着きましたが、Aさんはあの時もし朝まで待っていたらと思うと、今でも背筋が凍る思いだと言います。この事例から得られる教訓は、子供の場合は大人以上に受診のタイミングが重要であるということです。子供は自分の辛さを正確に言葉で伝えられません。機嫌が悪い、泣き止まない、食欲がないといった普段との違いこそが、病院へ行くべきかどうかの判断基準となります。特に呼吸の様子や、視線が合うかどうか、おしっこの回数が減っていないかという点は、家庭での観察における重要なチェック項目です。また、Aさんのように電話相談窓口を上手に利用することも、パニックを防ぐために有効です。風邪だと思っていても、子供の場合は中耳炎を併発していたり、思いもよらない感染症であったりすることが珍しくありません。親が迷ったときは、それは受診のサインだと捉えるくらいでちょうど良いのです。早期の受診は、子供の苦痛を最小限に抑え、親自身の不安を解消するための最善の手段となります。無理をして様子を見るのではなく、専門家に診てもらうことで得られる安心感は、育児を続ける上での大きな支えになるはずです。
子供の風邪で病院へ行くべきか迷った家庭の事例と教訓